確定申告に関する届出|適用を受けるなら提出が必要な書類一覧

確定申告に関わる所得税の特例がいくつかありますが、その特例を受けるために「届出書の提出」や「申請書の提出」が必要になるものもあります。

手続きを行うべき期日が設けられているケースも多いため、確定申告を行う個人事業主やフリーランスの方は、当記事でその一覧をチェックしておきましょう。

適用を受ける年の3月15日までに提出する書類

確定申告の期限は通例でいうと3月15日です。各種特例に係る手続きについてもこの日を期限として定めていますが、ここで列挙する次の書類については「適用を受ける年の3月15日まで」が提出期限とされています。

つまり、その年の前年分の確定申告期限までに提出しないといけません。
例)2024年の所得税に関して適用を受けようとする場合、提出期限は2024年3月15日まで。

  • 青色申告承認申請書
  • 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書
  • 現金主義による所得計算の特例を受けることの届出書
  • 棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の変更承認申請書
  • 有価証券と暗号資産の評価方法の変更承認申請書

それぞれの概要、書類の様式などは以下にまとめます。

青色申告承認申請書

これは青色申告による確定申告について承認してもらう際に提出する書類です。青色申告を選択して特別控除などの特典を受けようとするなら、最初にこの手続きを済ませておく必要があります。

事業所得を得ている個人事業主やフリーランスのほか、不動産所得や山林所得が発生する業務を営む方であれば適用要件を満たすことができます。

申請書の様式等はこちらから確認可能。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm

青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書

これは家族従業員などの「青色事業専従者」に対する給与を必要経費にする場合提出しないといけない届出書です。個人事業主でも一般的な従業員に対する給与は全額経費となりますが、生計を一にする家族従業員などに対する給与はこの届出をしておかないと全額を経費にすることができません。

なお、この届出をしたとしても「適正給与の範囲内の金額であること」を満たさないと経費算入は認められないため要注意です。

申請書の様式等はこちらから確認可能。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/12.htm

現金主義による所得計算の特例を受けることの届出書

これは事業所得などの金額について「現金主義」により計算する場合に提出しないといけない届出書です。
※原則は「発生主義」で、実際の金銭のやり取りではなくサービスや商品の提供などがあったタイミングで計上を行う。現金主義では実際の金銭のやり取りに合わせて計上を行う。

ただし、「前々年分の事業所得や不動産所得の合計額が300万円以下(専従者給与等の控除前)」を満たさないとこの特例の適用は受けられないため要注意です。

申請書の様式等はこちらから確認可能。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/23200010.htm

棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の変更承認申請書

これは棚卸資産の評価方法を変更する場合に提出しないといけない申請書です。
※原則の評価方法から最初に変更する場合の手続きは後述の「棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書」をチェック。

現によっている評価方法を選んでから相当期間が経過していないときは却下されてしまうため注意してください。

申請書の様式等はこちらから確認可能。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/20.htm

有価証券と暗号資産の評価方法の変更承認申請書

これは有価証券や暗号資産の評価方法を変更する場合に提出しないといけない申請書です。
※原則の評価方法から最初に変更する場合の手続きは後述の「有価証券と暗号資産の評価方法の届出書」をチェック。

現によっている評価方法を選んでから相当期間が経過していないときは却下されてしまうため注意してください。

申請書の様式等はこちらから確認可能。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/25kasou.htm

適用を受ける翌年の3月15日までに提出する書類

続いて、提出期限が「その年分の所得税の確定申告期限まで」と定められている届出書や申請書を紹介します。
例)2024年分の所得税に関して適用を受けようとする場合、提出期限は2025年3月15日まで。

  • 優良な電子帳簿の保存による65万円の青色申告特別控除の受ける旨の届出
  • 純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書
  • 棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書
  • 有価証券と暗号資産の評価方法の届出書
  • 所得税の増加償却の届出書

それぞれの概要、書類の様式などは以下にまとめます。

優良な電子帳簿の保存による65万円の青色申告特別控除の受ける旨の届出

これは青色申告特別控除の最大額である65万円の適用を受けようとする場合に提出する届出書です。

青色申告の承認を受けている方であって、優良な電子帳簿の要件を満たして電子帳簿保存をしている方が対象です。
※この要件を満たさなくても、e-Taxによる電子申告をするなら届出を行うことなく65万円の特別控除を利用できる。

申請書の様式等はこちらから確認可能。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09_2.htm

純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書

これは赤字を繰戻すことで前年分の税額が還付されるときに提出する書類です。

前年分に関しての青色申告書を提出していて、かつ、その年分の青色申告書を期限内に提出している方が対象です。

申請書の様式等はこちらから確認可能。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/23200002.htm

棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書

これは棚卸資産の評価方法や減価償却資産の償却方法を選定するときに提出する届出書です。

棚卸資産の評価については「原価法」と「低価法」から(届出をしないときは「最終仕入原価法」)、減価償却資産の償却方法については「定額法」「定率法」「生産高比例法」から(届出をしないときは「定額法」)選定します。

申請書の様式等はこちらから確認可能。

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/17.htm

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/18.htm

有価証券と暗号資産の評価方法の届出書

これは有価証券の評価方法を選定するときに提出する届出書です。

有価証券については「総平均法」と「移動平均法」から(届出をしないときは「総平均法」)選定することができます。

申請書の様式等はこちらから確認可能。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/23200018.htm

所得税の増加償却の届出書

これは平均的な使用時間を超えて使用している機械装置に関して、あらかじめ定められた減価償却額を上回る償却を行いたい場合に提出する届出書です。

常時運転する機械があり、通常よりも減価償却費を増やして短期的に投資の回収を図るときはこの届出を検討します。

申請書の様式等はこちらから確認可能。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/23200026.htm

期限のない提出書類

最後に、提出期限が定められていない書類を紹介します。

  • 棚卸資産の特別な評価方法の承認申請書
  • 減価償却資産の特別な償却方法の承認申請書
  • 減価償却資産の耐用年数短縮の承認申請書

これらに関しては「〇〇までに」とは定められていませんが、適用を受けようとする年のうちに済ませておく必要があります。

棚卸資産の特別な評価方法の承認申請書

これは棚卸資産の評価方法に関して、上記の原価法や低価法以外の、特別な方法により評価を行いたい場合に提出する申請書です。

提出時期に関しては法定されておらず、承認日の属する年分以後から適用されます。

申請書の様式等はこちらから確認可能。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/23200021.htm

減価償却資産の特別な償却方法の承認申請書

これは減価償却資産の償却方法に関して、上記の定額法・定率法・生産高比例法以外の、特別な方法にしたい場合に提出する申請書です。

提出時期に関しては法定されておらず、承認日の属する年分以後から適用されます。

申請書の様式等はこちらから確認可能。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/23200022.htm

減価償却資産の耐用年数短縮の承認申請書

これは減価償却資産が法定耐用年数より短い期間しか使用できなくなった場合に、耐用年数の短縮をするために提出する申請書です。

提出時期に関しては法定されておらず、承認日の属する年分以後から適用されます。

申請書の様式等はこちらから確認可能。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/23200025.htm

早めのチェックと手続きを心がけよう

ここで紹介した多くの手続きには提出期限が設けられています。確定申告の時期が近づいてから慌てて対処しようとしてもすでに手遅れになっている可能性がありますので、早いうちに各種制度の利用について検討を進めておきましょう。